黒猫眠り姫〔上〕[完]
 
said 湊

3時ぐらいまで、出版社と打ち合わせを

して、電車で帰ってきたのは、4時になる

前だった。マンションの下は、水溜りが

あって、不思議に思ったけど、管理人

が水撒きをしたのだろうと思ってすぐに

考えるのをやめて、家に入る。

入ると誰も居なくてどこか不安になった。

朝鈴と桐が出る前には、午後は、家で待っ

ているということだったので、予想外のこ

とが起き、どうしていいかわからなくなる。

そんなでよくよく考えて見ると、下に女が

いたのを思い出した。誰かを待っている様子で

いたので気にも留めていなかったが、前に桐と

口論していたような気がしたので、その女なら

何か知っているような気がしたから、下に行っ

てみることにした。話しかけようとしたら、

桐が現れたため、隅に隠れた。なんとなく、

桐の顔が曇っていたから、いい話ではないよう

だ。そのあとに、鈴の名前が出たことにより、

耳を澄ませて聞く。よくよく考えると桐と一緒

にいるはずの鈴は居ないそれがまた不安にな

って、心配になった。
< 36 / 344 >

この作品をシェア

pagetop