黒猫眠り姫〔上〕[完]
said 湊
3時ぐらいまで、出版社と打ち合わせを
して、電車で帰ってきたのは、4時になる
前だった。マンションの下は、水溜りが
あって、不思議に思ったけど、管理人
が水撒きをしたのだろうと思ってすぐに
考えるのをやめて、家に入る。
入ると誰も居なくてどこか不安になった。
朝鈴と桐が出る前には、午後は、家で待っ
ているということだったので、予想外のこ
とが起き、どうしていいかわからなくなる。
そんなでよくよく考えて見ると、下に女が
いたのを思い出した。誰かを待っている様子で
いたので気にも留めていなかったが、前に桐と
口論していたような気がしたので、その女なら
何か知っているような気がしたから、下に行っ
てみることにした。話しかけようとしたら、
桐が現れたため、隅に隠れた。なんとなく、
桐の顔が曇っていたから、いい話ではないよう
だ。そのあとに、鈴の名前が出たことにより、
耳を澄ませて聞く。よくよく考えると桐と一緒
にいるはずの鈴は居ないそれがまた不安にな
って、心配になった。