黒猫眠り姫〔上〕[完]
「あの娘が悪いのよ。」
そんな言葉を吐く女がなぜかすごく
むかついた。だけど、桐がすごく心配
になった。少なくとも自分のせいだと
思っているはずで、顔の様子が、ここから
見るとすごく落ち込んだように見えてしか
たなかった。でも、今ここで出って言っても
きっとややこしくなるだけで、桐に何もでき
ない気がしたから動かないで女が去るのを
待っていた。少しすると女が泣きそうな
顔で去っていた。それを見て桐に話かけた。
「さっきの話本当のこと?」
「ごめん。俺のせいで。」
そういった桐を、全く悪いなんて思ってない
から桐を見て言った。
「何で桐のせいなの?桐は悪くない。」
「でも・・・」
「今は、鈴を見つけるのが先でしょう?」
「ああ。」
そう言った桐はもういつもの桐に戻っていた。
ただ今は、鈴のことが心配で、見つけた時に、
なんて言っていいかとか風邪は引いてないだろ
うかとかそんなことよりも鈴に会いたいっていう
ことだけで、頭が支配されていた。
鈴に会いたいそれだけで、鈴が居なくなって
しまわないだろうか?そのことが、不安で
しかたなかった。