黒猫眠り姫〔上〕[完]

「鈴、そこ笑うとこ?俺のこと庇って

よ。鈴のことなら、湊絶対聞くしー。」

「えっ、そうなの?」

「何言ってんだよ。」

急に変わる言葉遣いもちょっとだけ、

湊を知れたような気がして嬉しい。

湊がそっぽ向いて席に着くものだから

気になってしまう。

「そーう?」

「何、どうかした?」

振り向いた湊は、さっきとなんら変わり

はなくてがっかり。何かあったのかと

思ったのに残念。桐はおなかを押さえて

笑い転げているし何がそんなに面白いのか

わからなくて気になった。

「桐何がそんなに面白いの?」

「ふははははは。」

「ねぇーってば。」

「鈴は知らなくていいの。」

「でも、湊は気にならないの?」

「・・特に。」

「湊つまらないね。」

「鈴なんか今日冷たいね。」

「だって、湊が何か隠してるんだもん。」

「隠してないよ?ほら、温かいうちにご飯

食べよ。桐はそのうち収まるよ。」

「・・・・うん。」

「鈴、拗ねたの?」

「違うよー。桐のバーか。」

「へっ、桐君かなり心に傷を。」

「桐お前、早くしろ。」

なんか、ご飯食べるのがすごく好きに

なった気がした。
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