黒猫眠り姫〔上〕[完]
「うーん。なんか違うような気もする。」
「ん?何か言った?」
「あ、何でもねぇ。とにかく、鈴がなんか
あったらぜってーに俺が助けるから。」
「うん。ありがと。でも、一緒に居てくれる
だけで、結構助かるよ。」
「なんか。すげー照れる。」
「へっ。」
「こっち見んな。」
「えー、見たい。桐こっち向いて。」
「やだー。」
「いいじゃん。」
「ぜってーやだ。」
「桐の意地悪。見せてくれたっていいのに。」
「あーもう何やってるの?」
「あっ、ごめんね湊。うるさかった?」
「いいよ。それで、何やってるの?」
「桐が・・」
「何でもねぇよ。」
桐に口を押さえられた。その瞬間見た桐は
ちょっぴり顔が赤くてびっくりした。
「あれ?何で桐顔赤いの?」
と言うと、湊がじっと桐を見て何か話していた。
(桐?まさか、お前鈴を)
(違うから。でも、可愛いけどな。)
(ピキッ。)鉛筆の折れた音。
(湊、けして鈴が好きなわけではなくて。)
(へーそうなの。)
(うん。神に誓うよ。)