黒猫眠り姫〔上〕[完]
少し歩くとバス停が見つかった。
光陽に停まるのを確認してバスに乗り
込む。光陽の制服を着た生徒がちらちら
見える。席が空いたのを見て、座る。
ここから、30分程度で着く。
バスの中は、暇すぎた。なんだったら、
次からは、湊の書いた本でも持って来よう
と思いながらぼーっとする。
そんなとき、声が掛かったから、振り返る。
「久しぶり。4日?ぐらい休みだったでしょ?」
「あー小畑尚。」
「うん。小畑尚だけど堅苦しいね。尚でいいんだ
けどな。っていうか尚って呼べ。」
「何それ?強制?」
「うん。強制。」
「じゃ、尚ところで何?」
「なんか冷めてるね。」
「そーう?」
「あのさ、なんかあったの?」
「えっ。何で?」
「いや、気になって。」
「特になんでもないけど、風邪。」
「あるじゃん。」
「そう?」
「大丈夫なの?」
「うん。平気。」
「そっか。よかった。」