黒猫眠り姫〔上〕[完]
「・・・何それ?そんなのあなたは、
不利益じゃないの?」
「そんなことない。君はただ居てくれるだけ
でいいんだ。あっ、でもたまにはしゃべってね。」
はじめて会ったあなたは、マイペースで変な人
だった。なぜかいつのまにかあなたのペースに
飲み込まれていった。すぐそこだという家に
連れて行かれた。風邪を引くということで
お風呂を借りた。お風呂から出ると、いきなり
コーヒーカップをもって現れた。
「湯加減どうだった?熱くなかった?」
「大丈夫。」
「そう。あっ、これココア、淹れたばかりだから
温かいはず。そういえば、服はぶかぶかだね。」
「・・ありがとう。」
「へっ、何が?」
「・・なんでもない。ココアちょうだい。」
「なんか、かわいいね。本当に猫みたい。
とりあいず、仕事があるからベットに寝るなり
本読むなりテレビでも見るなりしてて。」
「仕事?」
「そう仕事。」
そういうとシンプルで本のたくさんある部屋に
入った。