黒猫眠り姫〔上〕[完]
「そういえば、鈴ってこのへん住んでた
っけ?」
「あーうん。ここらへん。」
「ふーん。」
内心焦りを感じながらも顔には出さない。
それからは、たいした話は特になくて、
尚の話を聞いていた。
そんなんで、いつの間にか学校に着き、
お互いの教室に分かれた。
教室に入るとざわざわが一瞬に静まり
返った。特に気にすることもなく、窓際
の一番後ろの特等席と呼ばれる自分の席
に座り、ぼーっとする。
窓の外を見ると雲が転々とした、空模様。
時々、ひそひそした声が耳を通り抜ける。
ただ、それだけ。虐められてるわけでは
なくて、何にも傷つけられるようなことは
何もない。ただ、噂ばかり言っているだけ
でその噂も好奇な目で見る野次馬ばかりが、
繰り広げている。他は極力みんなに、
合わせている。いつから、こんな状態だった
だろう。もうずっと前から、こんな日常。