黒猫眠り姫〔上〕[完]

そんな日常でも意外と自分に溶け込んで

しまった。だから、居場所のないこの、

学校が退屈でしょうがない。普段は、授

業中夢の世界に旅立っているが、4日間

家で寝ていれば、眠くない。

それでも、授業の内容はつまらないもので

もうすでに知っていることだったから、

なんとなくうつ伏せになり瞳を閉じた。

現文の先生である若い女の先生が教科書

を読んでいる声がした。その高い声が、

なんだかキーンとする。

ボリュームはそこまでなくとも、結構、

耳に届く。何だか、眠れそうにないことに

憂鬱になりながらも、グランドを眺める。

尚の姿を発見するとなんだか面白くなった。

体操をしているみたいで、くねくねした体

の動きが見ていて飽きない。

そんな感じで、授業も終わり体操も終わって

いた。隣の教室から、尚の声が微かに聞えた。

尚のクラスは、体育だったようだ。

廊下で男子の騒ぐ声が教室でも聞える。

次の時間は、数学だった。お昼まで、あと

一時間、うつ伏せな体を起こす気にも

ならなかった。休みのチャイムもなり、

静かな教室になった。眼鏡をかけた、

いかにも顔の鋭い女の先生が入ってきた。


< 61 / 344 >

この作品をシェア

pagetop