黒猫眠り姫〔上〕[完]
そんな日常でも意外と自分に溶け込んで
しまった。だから、居場所のないこの、
学校が退屈でしょうがない。普段は、授
業中夢の世界に旅立っているが、4日間
家で寝ていれば、眠くない。
それでも、授業の内容はつまらないもので
もうすでに知っていることだったから、
なんとなくうつ伏せになり瞳を閉じた。
現文の先生である若い女の先生が教科書
を読んでいる声がした。その高い声が、
なんだかキーンとする。
ボリュームはそこまでなくとも、結構、
耳に届く。何だか、眠れそうにないことに
憂鬱になりながらも、グランドを眺める。
尚の姿を発見するとなんだか面白くなった。
体操をしているみたいで、くねくねした体
の動きが見ていて飽きない。
そんな感じで、授業も終わり体操も終わって
いた。隣の教室から、尚の声が微かに聞えた。
尚のクラスは、体育だったようだ。
廊下で男子の騒ぐ声が教室でも聞える。
次の時間は、数学だった。お昼まで、あと
一時間、うつ伏せな体を起こす気にも
ならなかった。休みのチャイムもなり、
静かな教室になった。眼鏡をかけた、
いかにも顔の鋭い女の先生が入ってきた。