黒猫眠り姫〔上〕[完]
「菜穂でいいからね。」
「えっ。そんな・・悪いですよ。」
「いいの。ここでは、鈴ちゃんしか
話せる相手居ないし。」
「じゃ、お言葉に甘えて、菜穂ちゃん
でいいですか??」
「うん。それがいい。」
そう言うと彼女は、クリームパンを
頬張りながら聞いてきた。
「鈴ちゃんって可愛いね。」
ふふと笑うとまっすぐに見つめられた。
「いや、そんなことないです。」
「自信ないの?」
「えっ。」
「頭良いみたいだし、素敵だよ。」
「そんなことないんです。」
「どうして?」
「なんか、もうよく分からなくて、
人に優しくされたのがあまりなくて、
自信だってないんです。最近は、特に、
変で。」
「うん。」
「一人になることが怖いと思い始めていて、
どうにかなっちゃいそうで。」
「うん。それは、普通だよ。誰だって、
一人は怖いものだよ。」