黒猫眠り姫〔上〕[完]

「・・・・・」

「実は言うと、私両親が離婚しちゃって

どうしようもなく孤独を感じたことが

あるの。」

「・・っ。」

「でも、一人が普通だなんて思ったこと

ないよ。怖いのは、慣れてしまうことだ

と思うの。」

「・・・・・・・」

「鈴ちゃんは、もっと誰かに甘えて、頼

っても良いと思う。私でも誰でも。さっき

鈴ちゃんが話し聞いてくれて、今もこう

やって弱いところ教えてくれたことすごく

嬉しいの。もっと、誰かに頼ることに怖が

らないで。一人が平気なんて寂しいこと

言わないで。」

「・・・っ・・。」

「何があったかは分からないけど、話せる

ことが出来たら私にも鈴ちゃんのこと教え

てね。」

「何で、菜穂ちゃんは、私に・・」

「初めてあった日から気になってたの。」

「えっ。」

「五月ごろだったかな、鈴ちゃんが屋上

に向かうところ見て、その時見た鈴ちゃん

は、何だかすごく寂しいような冷たい瞳

をしていて可愛いのに勿体無いなと思ったの。」

「そんなこと・・」

「あるよ。鈴ちゃんすごく可愛いのに笑えば

もっと可愛いのに。でも、無理しちゃ駄目

だもんね。ゆっくりでいいから、鈴ちゃんが

笑ってくれるといいな。」

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