黒猫眠り姫〔上〕[完]
そんなんで気になったのは、湊の書いた本。
一冊手に取り、ベットに寝そべりながら
ゆっくりと読み始めた。
結構有名な本らしくて、どこかで聞いたこと
がある題名に驚きながらも、水下空と言う名
前をテレビで見たことを思い出す。
かなり有名で数々の作品は、どれも売れている
ものばかりだ。だが、けっして表に姿を現そう
としない謎に包まれた作家だ。本を見ること3
時間もすると湊が、ベットに身を沈めてきた。
「終わった~!!ねぇ、りん?ご飯食べない?」
「なんで、名前知ってるの?名前言ってないのに。」
「えっ、君りんって言うの?いやーまさか名前を
当てるなんて思っても見なかった。ただ、猫には
りんって言う名前を付けたかっただけなんだけどね~
それで、名前なんて言うの?」
「・・黒野 鈴。」
「そっか~じゃ、鈴って言うから。そんでご飯
はどうする?」
「食べる。」
「じゃ、今作るから待ってて。」
「うん。」
もうすぐ22時になる。出会って間もない彼は、
どこか冷たい目と寂しさを感じる背中。
それから、どこか自分と同じにおいをした
私のご主人様。
私に負けないマイペースで、紳士な彼は
居心地がいい。