黒猫眠り姫〔上〕[完]

「そう?」

「鈴、鈴は、いつも人に頼ることをしない。

俺にも桐にも。」

「・・・・・・・」

「頼っていいんだよ。鈴は一人なんかじゃ

いんだから、もっと、甘えてもいいんだよ。

一人で抱え込んで自爆なんかしなくても、

苦しいなら苦しいって言っていいんだよ。

言葉に出来ないなら、いつだって待ってる

から。鈴のそばにいるから。ずっと待って

るから。」

「・・・っ・・・・ぅっ・・・そ・・うは、

そうやって・・・や・さし・・・くす・・る。」

「・・・・・・・・」

「優しくされると弱くなりそうで怖いんだよ。」

「だから、優しくしないでとか言わないでよ。

弱くなっても強くなろうとする、鈴は俺なんか

よりもずっと強いんだから。」

「そんなこ・・と・ない・・よ。」

「俺は、どうしたら鈴の力になれるのかな。」

ぎゅっと抱きしめられた体は湊の心臓の音が、

よく聞えた。

「湊はもうとっくに力になってるよ。」

自然と湊の背中に腕を回した。

「鈴?」

「湊がいなきゃとっくに人生終わってた。」

「????」

「湊がそばにいてくれて優しくされるたび、

居なくなるんじゃないかって怖いの。

朝起きたら、ベットから居なくなってる、

湊が、遠くにいちゃってるんじゃないかって

思うとどうしようもないほど怖いの。」
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