黒猫眠り姫〔上〕[完]

「・・・・・・・・」

「無理しないでいいのは・・湊も同じだよ。

私ばっかり湊に助けてもらうのは嫌だよ。」

湊の体は、抱きしめている限り、震えていた。

湊のことが全く見えなくて、湊の抱える

ものの大きさとかわからなくて、どうしたら

湊に近づけるんだろうと思った。

うまくいけないことがありすぎて、

誰にも不安があって、辛い感情もあって、

秘密がある。

抱える重さは、人それぞれで、

誰かがその重さを知ることは、

出来ないような気がした。

私の秘密も知っても誰にも

どうすることもできなくて、

湊も一緒なんだと思った。

でも、やっぱり、湊の顔を見ると、

どうしても湊には、笑って欲しかった。

どんなに暗闇が湊を追い詰めていても

湊の世界に私が居る限り、そんなに、

辛い顔をさせたくなかった。

湊と初めて会ったときから笑顔は、

本当の湊で本当の湊の笑顔だと

思ったから、ついてきたんだ。

暗闇の世界が広がり続ける中、

この世界が湊と二人っぼちに

思えた。
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