彩葉唄
霧夜は周りを見回して彼の姿を探した。そうしていると、直ぐに見つかった。
湖の直ぐ近くに膝を抱えて座り込んでいる童子姿の白銀の髪の人物。
「彩葉‥!」
「霧、遅いよ‥」
月色の瞳が真っ直ぐに霧夜に向けられる。その顔には昔と変わらぬ、優しい笑みが浮かんでいる。
その笑みを見ていると、彩葉が盗賊団の副首領だということは到底思えない。
盗賊団の副首領であってほしくない。
それが、霧夜の今の正直な気持ちだ。
「また霧に会えるなんて、私は嬉しいよ」
本当に嬉しそうに笑いながら、彩葉は立ち上がり霧夜に近寄る。目の前まで来た彩葉は霧夜の首に手を回し、抱き着いた。
「本当‥霧は昔と変わってないね」