彩葉唄

彩葉は囁くように言ったが、その言葉には様々な感情が混ざり合っていた。

「‥‥霧は何も変わってない。私は変わったのに」

抱き着くようにしている彩葉の手の指が肌に食い込み、首を締めるように力が込められる。
笑みを浮かべている彩葉の瞳には何の感情も見えず、ただ霧夜の苦しみに歪んだ顔を映した。

「‥ッ‥‥」
「ああ‥そうか、人間は首を絞めれば死ぬんだったっけ‥?」

パッと霧夜から手を離すと、彩葉はクスクスと笑いながら湖の方へと歩を進める。
霧夜は咳込みながら絞められていた首を摩り、信じられないとでも言いたげな表情で彩葉を凝視していた。

「何で‥」

無意識の内に紡がれた言葉は、風の音に掻き消され、彩葉には届かなかった。
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