彩葉唄
「図星か」、そう思いながら彩葉は右肩が出るように衣を下げる。右肩は霧夜の短刀が刺さった為、傷があるはずだ。
白雪のように白い肌、女子のように華奢な肩。
霧夜は、その右肩を見て驚く。
「ッ‥‥!?」
その右肩には
傷がなく
傷跡も残っていない
「私は、霧達‥人間とは違うんだよ」
何処か儚く悲しげな微笑を浮かべる。霧夜には、その表情が痛みを堪えているかのように見えて、今直ぐに何処かへ消えてしまいそうで不安になる。
彩葉は衣を着直す。
そして、霧夜から顔を逸らした。
「私は人間じゃない‥。私は‥」
続きの言葉を言うか否か、彩葉が迷ったのは拒絶されるのが恐かったから。
たった一人の幼なじみに拒絶されるのが、恐ろしかったから。