愛してる、ただそれだけで
「…寝るところだった?」
部屋着の俺と、捲られた
ベッドの掛け布団を見て彼女が問う。
「寝ようと思ったんだけど、眠れなくて」
嘘。
本当は、夢うつつだった。
それでもいい。
今日も夢で君に逢えますようにと、
願ったところだったから。
「…、ごめんね」
もう一度謝る彼女の頭を、
そっと撫でる。
「いいよ。
いいよ。もう、笑わなくて」
彼女の顔から、スッと笑顔が消える。
泣き出しそうな瞳が、俺を捉えた。