愛してる、ただそれだけで



『あたし、君の前では上手く笑えない』


そう、言われたのは
今日みたいに、深夜に突然
彼女が家に来た時だった。




嫌われていると思ってた俺は、
その訪問者に驚いて何より嬉しくて、


少なからず、浮かれて


彼女の言葉に、落胆して
ああ、やっぱり、と、納得した。






『君と一緒にいると、自分が作れない。



 君には、弱い所が隠せないの、』





苦しそうに言葉を吐き出す
彼女が、俺を見る。


言葉の意味、とか

勘違い、とか



そんなことを考える前に


彼女を抱き締めた。






崩れてしまいそうな気が、したから。




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