ねえ、もう一度。
OneMore
Girls
「お前さあ、もう少し女らしくしたらどうだ?」
肌を撫でる風は冷たくなり、気温もぐんぐんと下がってきた今日この頃。目の前の男は私を見つめながら真面目な顔で呟いた。
「は?」
「だーかーらっ!女らしくしたらって言ってんだよ。」
はあっとわざとらしく大きな溜息を吐き、すくりと立ち上がるこの男。茨城奏(イバラキ カナデ)。ご近所様兼幼馴染。
「あら、十分女らしいでしょ。」
「どこがだよ。」
…失礼な奴。
確かに、この格好は無いと思うけどさ。
そんな呆れた顔しなくたっていいじゃない。
「奏こそ、もっといっぱい食べて体格良い方がもてると思うよ。」
「余計なお世話だ。これでも俺はモテモテなの。」
ふんっと勝ち誇ったような笑みを見せる奏。
…むかつく。
「…あたしにどうこう言う暇があるなら家に帰って勉強でもしたら?顔はともかく頭は相当いっちゃってるみたいだからさ。」
「うっせ。」
奏はべーっと舌を出すと、
颯爽と私の部屋から姿を消した。
少しだけ香る奏の香水の香り。
「ホント、嫌になる。」
鏡に映った自分を見て溜息。
こんな姿、誰が見ても…ねぇ?
前髪はピンで大きくとめ、スッピン。髪の毛は後ろで一つにまとめ挙句パジャマ。
そりゃあ、"女らしく"なん言われても可笑しくないわけだ。