ねえ、もう一度。
ぶつかる!
反射的に目を瞑った。
瞼を閉じる前に見た映像は
私に迫り来るトラック。
あぁ、私の人生終わったな。
そう思った。
「…え」
次に目を開けた時、
私の体は何か暖かいもので包まれていた。
生きて、る?
何処も痛くない。
でも、なんで?
「……お前」
何が起こったのか全く理解できていない私の耳元で、聞きなれたあの声が聞こえた。
「俺の寿命縮める気かよ!」
「か、なで?」
気が付いた。
私の体を包み込んでいるのは奏の体。
ぎゅっと、痛いくらいに。
「頼むから、心配させんな…」
「…っ」
そう言う奏の声は少し震えていた。