ねえ、もう一度。
Boys
[奏Side]
可愛くなれとか、んなことどうでも良いんだよ。俺の中で比奈は特別な存在で、誰よりも可愛い女の子なんだから。
「お前さあ、もう少し女らしくしたらどうだ?」
…って、何言ってるんだ。俺。
比奈を目の前にするとどうも上手くいかない。他の奴の前なら簡単に振舞えるのにどうも比奈の前ではあがっちまう。
「は?」
ほらな、目の前からは冷たい視線と興味の無い冷めた声。
小さい頃からずっと一緒だった比奈。いつからだろうか、比奈を恋愛対象としてみるようになってしまったのは。
どう接していいか全く分からず、嫌味しか口に出来ない俺。そうとうガキだ。
だんだんと大人っぽくなっていく比奈。
なんだか無性に焦ってしまう俺。
化粧なんてしなくても、可愛いなんて口が避けても言えない。
しょうもねぇな。
「余計なお世話だ。これでも俺はモテモテなの。」
捨て台詞を吐く時は威勢が良く。比奈の部屋のドアを閉めた瞬間俺はがっくりと肩を落とした。
「なあ、比奈ちゃんよーく見たら結構可愛くね?」
次の日の昼休み。
俺は比奈からの弁当を食べようと箸を握り締めていた。
「…今、なんて言った?」
「だーかーら!比奈ちゃん。可愛いよな?」