白の世界
うれしこと、たのしいこと、辛いことも、寂しいことも。

今までずっと、裕典と共有してきたのだ。

お互いに、彼氏彼女が居たこともあったけど、不思議とそれはそれで祝福出来たし、詮索もしなかった。

ただ、間違いなく、心の奥で1番つながっているのは、裕典なんだ、っていつも感じていた。


はっきり言うと、趣味も全然違うのだし、性格も全然違うのに、どうしてひかれ合うのかが、解らないのだけれど・・・。


裕典の前では、包み隠さずに居ることが出来て、楽なのかもしれない。


あたしは惚れやすい性格だから、好きな人ができれば、すぐ裕典に報告したし、相談だってしていたし、今までそれが普通だった。


普通だったのに。


何故が、一輝の事は知られたくなかったのだ。

きっと、今までとは類の違う恋を感じていたからかもしない。

あたしは、一輝のことを、裕典に言うことがどうしても出来なくて、ずっと隠しているような状態になっていた。


「咲、最近楽しそうだね。また、好きな人でもできたの?」

武蔵小杉のマクドナルドで、メガマックをほおばりながら裕典がそう聞いてきた。

「は?全然、最近は恋してないよ。素敵な人、居ないんだもん。」

「ふーん。楽しそうにしてると思うと、たまにぼんやり上の空だし。」

「仕事、忙しくてさぁ。あ、でも、バンドは楽しいからね。そのせいだよ、きっと。」

「裕典はどうなの、最近??」

「俺も仕事忙しいからさ。そんな余裕ないなぁ。きっと付き合ってもちゃんとできないし。」

「・・・。」

「だから、今は彼女はいいかな。一人、手のかかる子供も居るしさ。」

「・・・、って、あたしの事かよ!」

裕典はからかうような目であたしを見て、楽しそうに笑った。

「もう、あたしの事なんて構ってなくていいから、裕典も彼女くらいみつけなよね。」

「咲こそ、惚れやすいくせに、すぐ飽きちゃうって。まともにつきあってないだろ、最近。俺のことなんて構ってないで、いい人みつけろよな。」

「裕典のことなんて、全然構ってないよ。ただほんとにいい人が居ないだけ。」




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