白の世界
裕典に恋心を抱かなかった、と言えば、嘘になる。


短大に入学した頃、一度だけ、裕典に想いをうちあけたことがあるのだ。

どんな人とつきあっても、やはり最終的には、裕典と比べてしまうのが、もう辛かったし、嫌だったから。

「他に、いい人作りなよ。」

笑顔でそうかわされた。

それが、答えだった。


それ以来、あたしは吹っ切れたのか、狂ったように、いろいろな人を好きになり、付き合っては別れる・・・。の繰り返しだった。


きっと、人を愛するということが、わからず、ただ心の寂しさをまぎらわすので精一杯だったのだ。



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