白の世界
舞浜駅で、ミッキーマウスの顔の形をした窓のモノレールに乗りかえ、ディズニーシーについたのは、午後10時を回っていたが、平日だったので、そんなに混雑はしていなかった。


中に入り、とりあえず昼間からビールを飲み、あたしたちはかなり上機嫌だったと思う。


あの、独特の現実を忘れさせてくれる雰囲気にすっかりのまれ、少しだけ、心が軽くなっていった。


「楽しいね、今日は、とても楽しい。」

手をつなぎ、右手に作られた海を見ながら、歩いていた。

「良かった。咲さん、いつもの笑顔にもどって。」

「ごめんね、心配させたよね。」

「すこしだけ。俺、なにか悪いことしたかな。って。」

「違う、違う。一輝のせいじゃないんだよ。ただ、あたしの中で処理すべきことが大きくて、なかなか前に進めなかったの。」

「そうなんだ。少し前に進めそうですか?くわしくは、きかないけど、応援しますから。」

「はい、前に進めそうですよ!ありがとう、ほんとに。」

そういって、あたしは一輝の右手をギュッとにぎりしめ、もうはなしたくはないと、思って、一輝の横顔をそっとみつめていた。



楽しい時間は、あっという間で、もう閉園の時間になって。


二人で名残惜しそうに、しながら、シーをあとにした。


窓から見える、夢の国は、ふっと浮いて見えて、とてもこの世のものとは思えないほど、綺麗だった。


帰りの電車で、あたしの肩にもたれかかって眠る、一輝がとてもいとおしくて、どうしようもなくなってしまった。


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