花びら
居酒屋の奥の席に通され向かい合わせに座る
緊張して恭介と目を合わせられない

メニューを取ろうとして手が触れた
思わず私は手を引いてしまった

「里緒、緊張してるの?俺なのに?」
恭介が笑う

「ちっ、違うよ。ただ久しぶりに会ったから…なんか恭介変わったし、大人びて…」
私は動揺する
恭介は緊張してないんだね
もう私のことを意識することがないからなのかな…

時間が経つに連れて私も昔の様に話せるようになっていろんな話をした。
高校時代の思い出
大学での思い出

ただ保岡サンのことだけは言えなかった
恭介も彼女の話はしなかったし、私も聞けなかった

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