花びら
私たちは付き合おい始めたのかもしれない
部活後
恭介は迎えに来てくれる
女の子たちの視線とヒソヒソ声を浴びながら、私は恭介の元に走る

恭介と一緒に駅まで向かう
逆方向の私たちは駅で話すのがいつもの日課

そんな日々が1週間続いた
恭介が無言になる
「み、南くん…?」
私はまだ恭介とは呼べないでいた

「恭介!!」
私が南くんと言う度に恭介は言い直す
そして笑うのに今日は笑ってくれない

「里緒を好きだよ」
一度しか言わないと言ったはずなのに恭介はまたその言葉をくれた
私は赤くなってうつむいた
その私の頬に恭介が触れ、顔をあげる
どのくらい見つめあっただろうか
そして恭介が聞いた
「キスしていい?」
私は頷き目をとじる
重なる唇
私が再び目を開けたとき

「恭介が好き」
そう思わず告げた私を恭介が力強く抱きしめた

初めて身体を重ねた時も恭介は私に聞き
怖がる私を優しくつつんでくれた

二人でいることが当たり前になり

きっと私たちはこのまま歩いていくと私は思っていた

でも高校3年の夏に分かれ道が近づいて来ていた
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