花びら
夏休みは二人で高校の近くの市立図書館で勉強をした

夏休み半ば
恭介が急に進路の話をした

「俺、文転する。京大の経済を受ける」
私は意味も分からずぼうっと恭介を見ていた

数学が全国的にもトップクラスの恭介は数理系に進むと思っていたし、そうだと言っていた
その恭介の急な進路変更

「里緒は?大阪の薬科?」

私のずっと目指している大学
クスリを開発することが私の夢

「うん。それか広島も考えてる。抗アレルギーの開発してるから…」
「広島か…」
そう恭介が呟いた

今でも思う
どうして京都を選ばなかったのかと
私の中に京都に残ることは考えられなかった
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