花びら
笑顔でいつもの待ち合わせに来た恭介

京都の合格発表は私より早く一番に報告してくれた
そのお祝いを兼ねて私たちは待ち合わせた

「里緒、おめでとう」
会ったとたんに恭介はそう言った
戸惑う私
泣きそうになる

「恭介…やっぱり分かってた?」
涙をこらえて私は聞く
「里緒のことだもん。おめでとう広島!!よく諦めなかったな。本当によかった」
そう笑顔で恭介が言う
何かもお見通し
私の一番の理解者

そして私は勇気を出していった
「恭介…お願いがあるの。」
私は俯きながら抱いて欲しいと聞こえるか聞こえないかの声で言った

恭介は固まっていたのだろう
しばらく返事がなく
そして私の手を取り歩き出した

私は恥ずかしさのあまりただ恭介に引かれるまま付いて行き
気づいたらホテルにいた
抱き寄せる恭介
自分から言ったのに私は緊張で固まってしまった

恭介は私の頬に触れゆっくりとキスをしていった

私は涙を堪えていた
恭介と会うのはこれが最後と決めていたから

恭介も気づいているのか
いつも終わった後は話しながら寝てしまうのに、今日は何も話さずただ抱きしめたままだった

今しかないそう思った

恭介の胸に顔をうずめ
決意し、

「別れよう」
そう告げる

私を抱きしめている力が入る
そして

「わかった」
そう恭介が答えた
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