花びら
ふたつの光
私は立ち上がり
保岡さんは差し出した手を下ろした

いつもの道を帰る
二人とも黙ったまま
先に口を開いたのは保岡さんだった
「里緒菜の待ってるいつかが来たとしてもいいよ。
でも来ないことを願ってる。里緒菜の気持ちが全部向くことを…過去を忘れろなんて言わない。待ちたいんだ。」

「ありがとうございます。でも…こんなままじゃダメだと思う。保岡さんを傷つけて…」
保岡さんが泣き顔の私を抱き寄せる。
「いいんだ。それくらい…構わない。里緒菜が側にいるなら。愛してる…愛してるから。同じ時を過ごしたい。離せなくてごめん。その人のとこに行けよって言えなくてごめん。里緒菜を愛してる。」
私はそれ以上何も言えなかった
彼を保岡さんをこんなにも傷つけて
離れたら更に傷つける
悲しませたくない

この気持ちは愛なのか…
この気持ちが愛に変わってくれるなら…
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