花びら
午後④時
広島駅のホーム
無言で新幹線を待つ私たち
周りの雑音で聞こえにくいアナウンスの声
昔みたいな場面
違うのは恭介でなく保岡さんであること
ホームに新幹線が入ってくる
ぎゅっと握り締められた手
でも握り返せなかった
一番最後に乗り込む私
見つめる保岡さん
「待ってるから」
その言葉が背中から聞こえた
振り向くといつもの笑顔があった
お見送りの人は下がってくださいのアナウンスの放送で下がる保岡さん
閉まるドア
動き出した新幹線
手を振る私
保岡さんはたったままでだんだん小さくなっていった
ねぇ、こんな風に優しくされたら私は甘えてしまう
保岡さんは優しく道を照らしてくれる人
暗闇を怖がる私を守ってくれる人

恭介は私が迷わないように光続けてる人
眩しいくらいに光っていて、その光を追いたい

もしもこの冬休みの間に偶然再会できたなら…
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