花びら
バスに乗り込み
席にすわる
その途端に涙が溢れてきた

もう一度会えたら
そうどうして期待してしまったのだろう
動き出したバス
懐かしい恭介の私を呼ぶ声が聞こえた気がした
『里緒』
そう恭介が呼ぶと特別な気がしてた

恭介…
私は間違ってた
こんなにも愛しいのにそばにいられないなんて
あの日、電車を降りて恭介の元へ駆け出していたら…

あの日
小さくなっていく恭介を見つめながら
必死に涙をこらえた
電車が駅に止まり
向かい側に電車が入って来た
あの電車に乗れば会える
恭介のところへ行ける
電車発車のベルで私は電車を降り
入って来たばかりの電車に飛び乗った
発車した電車
一駅がこんなにも遠いとは思わなかった
電車がホームに入る
あの別れたホームのベンチに恭介は座っていた
乗り込んだドアと反対のドアが開く
でも降りれなかった
恭介はベンチで何かを握りしめうつむいていた
握りしめているのはケータイだった
恭介が泣いている
その姿を見たときダメだと思った
降りたら恭介の夢のじゃまになる
発車のベルがなり電車は動き出した
ホームの恭介が小さくなっていく
恭介頑張ろう

そう決意して別れたのに
今そばにいる女の子が私でない
いつかはもう来ない
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