花びら
恭介も同じ想いだった。それがただただ嬉しかった。同じようにいつかを信じお互いを想っていた。
恭介から離れてふと落ちたケータイを見て思った。着信画面は一昨日みんなと食べたクリスマスケーキの待ち受け画面に戻っていた。
保岡さん…
私たちの会話は聞こえていただろう
大切に大切にしてくれた人
どれだけ私はこの人を苦しめているんだろう
幸せにしたかった。本当にそう思ったのに…
涙が溢れ出した
「里緒?」
恭介が後ろから心配そうに聞く
「恭介…私は彼を保岡さんをどれだけ傷つけて悲しませたんだろう?恭介といたいのに恭介が好きなのにいつかを信じてたのに…今、保岡さんが泣いてる気がして胸が痛い。恭介…私は…」

急に恭介が私を後ろから抱きしめる
背中から恭介の温もりが伝わる

「里緒は彼が好きなんだね。」
恭介の腕に力が入る
ぎゅっと強く抱きしめて

「里緒…4年は長かったね。里緒の4年間を俺は知らない。どんな恋をして泣いて笑ってたのか…でも俺の4年間を里緒は知らない。里緒…自分の気持ちに正直になって。彼を好きなら彼のところへ行けばいい…きっと幸せになれるから。里緒の選ぶ道は間違ってないよ。いつだって里緒は悩んで正しい答えを選んでる。里緒、大丈夫だよ。」
恭介の温もりが消えて、帰って行く足音はだんだん小さくなっていった。
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