花びら
動き出した新幹線
恭介はだんだん早歩きになりながら笑顔で手を振っている。ホームの先の柵まで来て恭介は立ち止まった。
『里緒』
そう聞こえた気がした。
恭介を残して私は広島に向かう。
4年前とは違う私たち。
幼かった4年前
お互い自分だけでいっぱいになって相手を傷つけてしまうと思った。今ならそれすら二人なら大丈夫って思えるけれど、あの頃の私たちはきっとダメになっただろう。
お互いがお互いの知らない4年があるけれど、この時間があったからきっと今、一緒にいられると思える。一緒にいられなかった4年はこれから埋めていけばいい。
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