花びら

私は京都に帰ってきた。
大学近くに小さなアパートを借りた。
2DKの南向きの部屋。
引っ越し業者の人が運んで来る荷物を恭介が場所を指示する。
私たちはお互いの両親を説得して一緒に住むことにした。
私は夜がとても遅いだろう、恭介は朝早く会社に出勤しなくては行けない。
一緒にいられる時間はすごく短い。お互いのしたいことがあるから。それでもそばにいたいから、その想いが大きいから私たちは一緒にいる。
私と恭介の新しい道に光が照り始めた。まぶしい未来に向かって恭介と歩いて行く。

夕方、引っ越しを終えてお弁当を持って坂を登る。
出逢った場所は桜がきれいに咲いて、二人手を繋いで歩く。きっとこの先何度も巡る春。
私たちはきっとこの場所にくるだろう。風が吹いて恭介が私の肩を抱き寄せる。まだ寒い時も二人なら暖かい。
風で花びらが舞う。4年前、一枚一枚に恭介への想いを乗せて飛ばした想いが今私の元へと戻ってきた。きっともう飛ばすことなんてない。
< 65 / 65 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop