ひなたぼっこ~先生の、隣~
昼休みが終わり、教室に戻ると異様な空気に包まれていた。
いつもは騒がしい教室が、やけに静かー…
「泰葉!」
そんな雰囲気に少し戸惑っていると、香奈が駆け寄ってきた。
「どうしたの?この雰囲気…」
教室を見渡しながら、香奈に問い掛けた。
「さっき担任が来てさ、午後の高橋の授業は自習だって」
「え…?あ…」
そういえばさっき、先生が出掛けなきゃいけないってー…
「鈴木達が学校に来る途中で、喧嘩したらしくてさ。しかも、相手は中学生。今、担任と高橋が鈴木達を連れて謝りに行ったってさ」
「高橋先生も?」
「生徒指導だからじゃない?高橋も大変だよね。どの学年の生徒が問題起こしても、高橋が行かなきゃいけないんだし」
「うん…」
「でも、ま、先生だから当たり前か、自習になってラッキー」
「…」
香奈の最後の言葉には、頷けなかった。
だって…
きっと今頃、先生は生徒達のために頭を下げている。
そんな先生のことを考えると、自習になって嬉しいとは思えない。