ひなたぼっこ~先生の、隣~
初デート
「お母さん…今日、ちょっと帰り遅くなるから」
「どこ行くのよ?」
ドキ
「…香奈と花火見に行くんだ」
「そう。気をつけるのよ」
「はい。行ってきます」
泰葉は、そう言うと逃げるように家を出た。
今日は、先生と花火を見に行く。
まさか、本当のことを言えるわけがないし…でも、親に嘘つくのっていいもんじゃない。
先生と付き合う時点で、わかってたことだけどー…
心の中で謝っておこう。
ブーブー
鞄の中に入れてあった携帯が鳴った。
先生かな?
携帯を開き画面を確認すると…
「…香奈?」
着信は香奈だった。
『あ、もしかして高橋と一緒?』
「ううん。まだ約束の時間まで、30分ぐらいあるけど…何かあった?」
今日、先生と花火を見に行くことは香奈も知っている。
この間、皆で花火をやった日に先生と麻生さんが一緒に帰ったことを知り、次の日に心配して電話をくれた。
その時に、今日のことを話したんだけどー…
『泊まりになるなら、私が泰葉ん家電話してあげるから』
ドキン
「何言って…」
ずっと、こういうことばかり言ってくる。
『ま、キスの一つでもしてきなね!』
ブチ
切れた…