ひなたぼっこ~先生の、隣~
「どうして、高橋先生もいるんですか?」
生徒の一人が、みんなが思っているであろう疑問を聞いた。
「生徒指導の高橋先生にも一緒にと、頼んだからだよ」
ブツブツ言っている担任の横で、先生は苦笑いしている。
「だいたい、お前らはなぁ…」
みんなが予想した通り、半分はお説教だった。
途中、高橋先生が担任をなだめたり…
説教は30分も続き、いいだけ言うと担任は教室から出て行ってしまった。
一瞬だけ教室が静かになったが、すぐにブーイングの嵐。
今度はそれをなだめるために、高橋先生が話を始めた。
「あー…お前らは関係ないと思って聞いていたと思うが、同じクラスメイトが起こした問題だ。けど、連帯責任と言われても納得いかないよな」
「そうだよ!鈴木たちが勝手に問題起こしといて、なんで俺たちが怒られなきゃいけないんだよ!」
「意味わかんねぇ」
「神林、うぜぇ!」
30分間、黙って聞いていた生徒たちの不満は爆発寸前。
「そうだよな…俺も、お前たちと同じぐらいの年齢だったら納得いかないと思う」
「だったら、高橋から言ってくれよ。"怒る相手、間違ってねぇか"って」
「それは、言えないけど。まぁ、連帯責任というのはこれから社会に出て行くお前らには、大切なことだから」
「そんなん、社会に出てからわかりゃいいよ」
「それじゃあ、遅いからだよ。学校で学んどかないと、社会に出てから辛くなるぞ」
「なんだ、高橋も説教かよ。うぜぇ」
「うざい言うな。まぁ…今は、受け止められないと思う。だけど、覚えていて欲しい。"あぁ、神林先生が言っていたことは、このことだったのかと"」
「は?」
「つまり、納得いかないことを受け止めろと言われても、反発するだけ。自分で経験して、気付いていかないと、本当に受け止めたってことには、ならないってことさ」
「ますます、わかんねぇ」
「それでいいよ。ただ、俺たち教師が言ったことを、頭の片隅にでも覚えていて欲しい。はい。俺が言いたいのは、それだけ」
パチンと、先生が手を叩いた。