ひなたぼっこ~先生の、隣~
「は…?何か、神林と違って早すぎ」
「説教かと思ったら、説教じゃなかった…?」
手を叩いた音によって、張り詰めていた空気がはじけたように感じた。
「あ、しばらくの間、神林先生そっとしといてあげて。結構、参ってるみたいだから」
「言われなくても、近付かないよ」
「何かあったら、とりあえずは俺に一度言ってこい。問題になる前にな」
「「はーい」」
「よし。」
生徒たちが声を揃えて返事をすると、先生はニカッと笑った。
…やっぱり。
「高橋ー!残った時間、昼寝にしようぜ」
「アホか!数学赤点の奴が、何を言いやがる」
先生は、すごい人です。
「ちょ…暴露すんなよ!俺の点数」
「ちょうどいい、今からみっちり数学を教えてやるよ。覚悟しろ」
「やーめーろーよ!」
「「あはは!」」
昨日から張り詰めていた教室の雰囲気を、一気に笑いに変えてしまった。
怒るときに、怒れる。
優しくするときに、優しくできる。
笑わせるときに、笑わせる。
真面目なときには、きちんと話す。
高橋一樹という先生は、こういうことを全てできる先生です。