ひなたぼっこ~先生の、隣~
待ち合わせの場所に近付くと、妹尾の姿が見えた。
一人なのに、表情をコロコロ変えて何か考えているようだ。
「…いつも何か考えているよな」
つい、ふっと笑ってしまった。
どうして笑えたのかは、わからないがー…
助手席の窓を開け、話し掛けると目を見開いた。
慌てて車に乗ったと思ったら、シートベルトを強く握りしめている。
しかも、顔は真っ赤ー…
…安川だな。
朝の電話を思い出した。
俺にも掛かってきたってことは、妹尾にもー…
「…身構えないでくださいよ」
本当、可愛いなぁー…
「言っただろ?お前が怖がることはしないって」
これは…守れるかわかんないけど。
いや…守らないといけないのか。
俺は、妹尾と一緒にいられるだけで心が安らぐ。
それだけでいいと思って…
「…先生?」
「ん?」
「あの…」
「何だよ?」
横目で助手席の方を見ると、今だにシートベルトを握りしめている妹尾。
「私には、何が怖いのかわからないんですけど」
「…」
「…先生?」
そうか…
妹尾は、何も知らないんだ。
それは、それで…
「俺、頑張れるかわからない」
ヤバイかも。