ひなたぼっこ~先生の、隣~
先生の魅力
鈴木くん達の謹慎処分も解け、教室はいつもの雰囲気を取り戻し始めていた。
「妹尾さん!コンピューター室で、実行委員会やるって」
「あ、はい」
今はというと、来月行われる体育祭に向けて慌ただしく動いている。
「どうしたの?妹尾さん」
「…え?」
「中庭に何かあるの?」
教室からコンピューター室に向かうには、中庭が見える廊下を通らなければならない。
「う…ううん。何でもない」
無意識に、中庭を見てしまっていた。
「そう?なら、急ごうか」
「うん」
あの日から、中庭で先生に会うことができていないからだ。
体育祭の実行委員のせいで、昼休みが潰れてしまうことがほとんど。
「俺たちのクラスだけだよね。くじ引きで実行委員決めたの」
「うん。他のクラスは、立候補者がいたって言ってたね」
隣にいるのは同じ、くじ引きで実行委員に選ばれた立川 英人(たちかわ えいと)。
学年トップの秀才な上、優しくて爽やかな男子生徒。
「でも、相手が妹尾さんで良かったよ」
「え…」
「一緒にやるなら、真面目に仕事してくれる人が良かったし、何より喋りやすい印象があったからね。一緒にできて、嬉しいよ」
ニコッと爽やかな笑みを見せ、立川が言った。
「…そういってくれると、嬉しい。ありがとう」
泰葉も自然と笑顔になり、お礼を言った。
立川くんとは、あんまり喋ったことがなかったから不安だったけど、そう言ってくれて安心した。