ひなたぼっこ~先生の、隣~



カタンー…




椅子を引く音がした。




泰葉の座っている席の前に、先生が向かい合うように座った。




「…久しぶりだな」



「え…」



先生の唐突な言葉に、思わず目を合わせてしまった。




「妹尾の顔を、こんな間近で見たの」



ドキン



ふっと笑い、そっと泰葉の頭を撫でた。




また目を逸らしてしまった。



でも、それはさっきと違う。






顔が真っ赤になってしまってるから。





「…俺からメールしたのに、なんか…ごめんな…」




「いえ…」


俯いたまま、首を横に振る。




顔を上げて、きちんと先生の目を見て話さなきゃいけないのにー…





しばらくの間、教室が再び静まり返った。






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