ひなたぼっこ~先生の、隣~
┠*修学旅行
「泰葉!ちょっと、いいの!?」
「え?」
すごい剣幕な雰囲気を出し、香奈が駆け寄ってきた。
私達は今、修学旅行で"広島"に向かっている。
広島までは、新幹線で4時間ぐらい。
車内は貸し切りで、ガヤガヤと騒がしい。
「今、トイレ行ったときに見たんだけど」
香奈は、泰葉の隣に座り耳元で喋る。
「高橋と楓が仲良さそうに、隣同士で座ってたんだけど」
「…そっか」
「そっかって…いいの!?」
さっきよりも、香奈の声が大きくなる。
「…わかってるから」
香奈に笑顔を向ける。
「わかってるって…」
「大丈夫だから。気にしないで」
「泰葉…」
「もうすぐ着くから各自、自分の座席に戻って荷物まとめろよ!」
担任が大きな声で指示を出す。
「ほら、香奈も自分の席戻って荷物まとめないと」
「う…うん」
納得いかないという顔をしながら、香奈は自分の座席に戻っていった。
泰葉も出していた荷物をしまう。
先生と麻生さん、一緒にいるんだー…
「…大丈夫だから」
自分に言い聞かせるように言った。