ひなたぼっこ~先生の、隣~
新幹線を降りると、観光バスに乗りホテルへー…
ホテルに到着すると、各自それぞれの部屋に荷物を置きに行く。
泰葉は、香奈と同じ部屋。
405号室。
女子は4階、男子は5階と階が別れているらしい。
「で、何があったの?」
泰葉が荷物を開いていると、ベッドに座った香奈が偉そうに聞いてくる。
「…何が?」
「高橋と」
ぴたりと泰葉の手が一瞬だけ止まった。
「…何もないよ。それより、早く支度しないと集合時間に遅れるよ?」
再び動き出す。
「大丈夫。ウチの学校は、解散から再び集合まで一時間の余裕はある。集まりが悪いから」
「…」
香奈がベッドから降り、泰葉の隣に座る。
「泰葉は一人で考える悪い癖があることぐらい、わかってる。だから、心配なんだよ」
「…」
「高橋と麻生が一緒にいるの、本当は嫌なんでしょ?」
泰葉は、小さく首を横に振る。
「…違う」
「違くないよ」
「違うよ…本当に」
泰葉は俯き、首を横に振る。
「だったら…どうして、泣きそうな顔してるの?」
香奈が顔を覗き込む。
「泰葉は相手の立場のことをよく考えてるけどさ…たまには、自分の気持ちも考えなきゃダメだよ」
出していた荷物に、雫が落ちる。
「濡れちゃうから…こっち来て話そう?」
香奈に手をひかれ、ゆっくりとベッドに腰掛けた。