ひなたぼっこ~先生の、隣~
「妹尾さん!」
ビク!
「え…?」
「何回も呼んだんだけど…大丈夫?」
昨日、先生が座っていた場所に今は立川が座っている。
「あ…ゴメン。ちょっと考えごとしてて…。何?」
周りを見渡すと、楽しそうにお弁当を食べている。
あ…もう、昼休みか…
「明日が期限だから、クラス全員の回収してきたんだけど…妹尾さんは、終わった?」
「後、5個作ったら終わりだよ」
横に掛けといた完成品を、机の上に置いた。
「うわ、すごいね!…あれ、これだけ他のと縫い方が違う?」
立川が手に取ったのは、他のより縫い方が雑な玉。
昨日、先生が作った1個だ。
その1個だけを作ると、先生は"見回りがある"と言い、教室から出て行った。
「妹尾さん?」
「あ、ごめん。それだけ寝ながら作ったから…あはは」
なんとなく、先生と一緒に作ったなんて言いたくなかった。
「そんなに大変だったら、言ってくれれば良かったのに」
「ううん!全然、平気…」
[ガチャ…12HR、賀川!伊藤!1分以内に、生徒指導室に来い!!…ブチ]
急に流れた呼び出し放送に、教室中に緊張が走った。