ひなたぼっこ~先生の、隣~
「ここなら、誰にも聞かれないでしょ?」
打ち合わせが終わり、泰葉と立川はホテルの非常階段にいる。
避難経路の確認のときに見つけた場所で、通る人なんかいない。
泰葉は俯き、口を閉ざす。
「…俺が気付いたのは、つい最近かな…?」
立川が一人で喋り出す。
「最終の打ち合わせのときの帰り、高橋の様子がいつもと違うなって…どう見ても、調子の悪い生徒を心配してるっていうより…嫉妬したって感じだったから」
クスクスと笑いながら立川が言った。
あの時ー…
「妹尾さんは、高橋の立場とか…色々考えてると思うけどさ、高橋は妹尾さんのことを考えてくれてるのかな?」
「それは…私が考えなくていいって言ったから…今の問題に集中して欲しくて…」
「そっか…でも、本心ではないよね?」
ドキ
「…え?」
「自分の気持ちを無視して、高橋のことばっか考えて…付き合ってて楽しい?」
「…なんで…?」
そんなこと聞くの?