ひなたぼっこ~先生の、隣~
「大丈夫ですか!?」
騒ぎに気付き、医師や看護師が屋上に現れた。
様子を伺いながら、刺激をしないようにゆっくりと近付いてくる。
「…すいませんけど、この腕持っててくれませんか?」
一人の医師に、麻生の腕を掴んでいるよう頼むとフェンスに登る。
「危ないですよ!」
医師に止められるが、そんなの聞き入れるわけがない。
「…先生」
麻生が"先生"と呼ぶときは、弱っているとき。
ゆっくりと地上に足を着けると、麻生と向き合う。
数センチ横は壁がなく、落ちたら即死だろうという高さ。
「…麻生、戻ろう」
手を伸ばす。
しかし麻生は泣きながら、首を横に振る。