ひなたぼっこ~先生の、隣~
心の傷
「高橋!早く!」
「…わかってるよ。てか、走ると注意されるぞ?」
階段を軽快に駆け上がっていく麻生の後ろを、いつも通りのペースで付いて行く。
今日は、麻生の母親が退院する日。
それなのに父親は、出張。
姉は、部屋に引きこもっている状態らしい。
そのため退院する際、荷物も多いため運転手として来た。
「帰り、ご飯食べて帰ろうよ?」
「アホ。お母さんをゆっくり家で休ませてあげろよ」
「そっか」
いつもより増してテンションが高く、この間屋上で見た麻生の姿では想像できないー…
"私だって、みんなと一緒の高校生なのに…どうして、こんなに苦しまなきゃいけないの?!"
麻生が苦しくなるのも、わかる。
精神不安定な姉ー…
自殺未遂を犯した母親ー…
家庭に無関心な父親ー…
その全てを支えているのは、17歳の麻生だ。
限界だったんだろう。