ひなたぼっこ~先生の、隣~
身近なライバル
先生が殴られたという噂が立った次の日には、準備室に見舞う生徒や笑いにくる生徒でいっぱいだったらしい。
殴ったと噂された生徒は一時、退学という噂も流れたが一週間の謹慎処分となったらしい。
「雨か…」
教室の窓の外は、大雨が降っている。
季節は、6月。
そういえば、朝の天気予報で梅雨入りしたって言ってたっけ…
毎日、雨ばかりだったら中庭にも行けない。
実行委員の仕事も後は、来週の本番を待つのみ。
「泰葉!ちょっといい?」
「どうしたの?」
香奈の手には、午前中に調理実習で作ったクッキーが綺麗にラッピングされていた。
「これ、高橋にあげようかと思って。準備室まで付き合ってくれる?」
「…うん。いいよ」
「ありがとう!」
とびっきりの笑顔で、香奈にお礼を言われた。
「行こう!」
グイグイと、香奈に引っ張られるように教室から出た。
準備室に向かっている間、香奈はとても楽しそうな表情をしていた。
最初は"まさか…"って心のどこかで思っていたけど、この表情を見ていると本当に、先生に恋してるんだなって思う。