ひなたぼっこ~先生の、隣~
「…」
何だー…?
「あ!!お母さん!?」
麻生の叫ぶ声が聞こえ、顔を前に向ける。
「高橋先生、申し訳ございません」
手に荷物を持った母親が、深く頭を下げた。
「…とんでもない」
麻生が母親から荷物を預かり、笑顔を向けている。
「あ…ちょっと、受け付け行ってくるね。先に車に行ってて」
思い出したかのように言うと、麻生は先に階段を下りて行った。
「…お体の調子はどうですか?」
「おかげさまで…もう大丈夫です」
体を労るように、ゆっくりと階段を下りる。
「先生には、本当にご迷惑をおかけしてばかりで…」
「いえ…」
「私、ずっと考えてみたんです」
「?」
「先生にだってプライベートな時間があるんですよね」
「…」
「それなのに、学校以外のことで色々助けていただいて…楓のことまで頼んでしまって…」
「…いえ」
「それに、先生にも恋人とかいますのに…怒られてしまいますよね」
恋人ー…
怒られるどころかー…
「…俺が全部悪かったんですよ」
傷つけてしまった。