ひなたぼっこ~先生の、隣~
「高橋先生、本当に何から何までありがとうございました」
家の前で荷物を片手に持ち、母親が深く頭を下げた。
「いえ…」
頭を上げるように促す。
それと同時ぐらいに、玄関のドアが開いた。
「…お姉ちゃん」
麻生が小さな声で言った。
髪はボサボサで、スウェット姿。
「…何しに帰って来たの?」
「何しにって…家に帰って来たんじゃない」
慌てて、母親は駆け寄る。
「私のこと捨てたくせに!何で帰ってきたのよ!」